もう一度会いたい。

次の金曜日もその美術館に行った。

「あの画が気に入ったから」

と自分にはいいきかせていたけど、

「彼に会えるかも」という期待はあった。

本当は1週間が、とても長く感じられた。

やっと彼に会える!

美紀は一番お気に入りのスカートを選んだ。

美術館は先週よりも空いていた。

仕事を早めに切りあげたからだろうか。

先週みたばかりだけど、

もう一度美術展を一巡する。

でも、少しうわの空。

もしかしたら彼に会えるかもと思うと、

画に集中できない。

「そんなに都合よくはいかないか」と思って

あのお気に入りの画の前に戻ってくる。

やっぱりこの画が好きだ。

この色づかい。この温かさ。

作者が「人生のどんぞこ」にいたときに描いた作品らしい。

画は全く売れず、食べるものもなく、

唯一の味方である恋人も親友にとられ、

もう誰のことも信じられない。

この画の温かさからは、

そんなことみじんも感じられない。

作者も温もりを求めていたのだろうか。

美紀は少しだけ画に集中する。

「あの、すみません」振り返ると、彼がいた。

美術館の係員としての制服をきちんと着て、

1週間、美紀がずっとイメージしていたとおりの彼だ。

「先週もいらっしゃってましたよね。

やっぱりこの画がお好きなんですね。」

「ええ。」と美紀は短く答える。

ぽっと赤くなるのが自分でも分かった。

美紀は彼に見られないように、あわててうつむく。

30もとうに超えているのに、中学生みたい。

何だかすごく恥ずかしい。

〈iyokanからのお願い☆〉

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