やっと会えた。

振り返ると私服姿の彼。

もうあの美術館にはいないのかと思った。

もう会えないかと思った。

いろんな感情がこみあげてくる。

何でもなさそうにしていたいのに、

気がついたら涙が出ていた。

恥ずかしい。

でも、止まらない。

その様子に気づいた彼は、

ちょっと驚いた様子。

涙で何も言えない美紀を

「会いたかった。」

そう言って抱きしめてくれた。

この半年の時間は何だったんだろう。

時間が解決してくれると思った。

会わなければ、忘れられると思った。

好きになっちゃいけない。

そうずっと思っていた。

会えないことがこんなに苦しいなんて

今まで気づかなかった。

彼の奥さんのこと、娘のこと、

斎藤くんのこと、

いろいろあるけど、今はいいや。

今だけはこのままで。

すべてを忘れて、

今はこうして彼と抱き合っていたい。

たとえすべてを失っても。


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