仕事を決めたワケ。

しまった!言うことがない・・・。」

麻紀はあせった。

今度の就職説明会で、

先輩女性として新卒採用の女の子に講義をしてほしいと言われて、

原稿を書き始めたが、全てが表面だけのうそのように思えてならない。

麻紀は35歳。

大手生命保険会社に就職して、営業の仕事をして13年。

がむしゃらに働いてきた。

1週間くらいの出張はざらで、週2~3日は終電で帰宅。

終電をのがして、タクシー帰りの日も多い。

顧客の接待を考えると夜は外せない。

おかげで成績は全支店でトップ10に入るほどになった。

彼氏はいるが、平日はほとんど会えない。

週末にどちらかの家でゆっくりするのが習慣となっていた。

それなりのポストを与えられていたし、

仕事をしているときは楽しいが、いつの間にか

「私これでいいの?」

と考えるようになっていた。


営業のノウハウならいくらでも話せる。

でもなぜこの会社で営業をしているのか、

それが自分の本当にやりたいことなのかが分からなくなっていた。

「私がこの会社に入ったのは、この会社の企業理念に賛同したからです・・・。」

とか言っても、

本当は就職難だし、やりたいことも分からないし、

営業も一般事務もたくさんの会社を受けて、落ちまくり、

やっと内定をもらったこの会社に決めただけ。

麻紀はあの就職活動のことを思い出すたびに、

よく今の自分がいるなと苦笑してしまう。

20そこそこで一生続けていく仕事を決めるなんて、

そんなに簡単なことではない。


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