初デート

美術展をひととおりみた。

その間、二人はほとんど会話をしなかった。

美術館で働いている彼は、

画にも詳しいだろうけど、何も言わない。

もうすぐ午後8時。美術館閉館まであと30分。

二人は顔を見合わせる。

美紀も彼も何も言わない。

でも、二人は「彼が大好きな画」の前に戻ってくる。

美紀は美術館に行くと、

必ず最後にお気に入りの画の前に戻ってくる。

彼はそれを知っていたのだろうか。

画をじっくりみたあとで彼は言った。

「今日は僕の大好きな画につきあってくださって、

ありがとうございます。

小林さんのお気に入りの画は見つかりましたか?」

「はい。私もこの画が一番好きです。」美紀は答えた。

本当にそうだったから。

もし美紀がひとりで来ていても、

この画の前に戻ってきていただろう。

そう考えると

誰かとその画を観ていることがとても不思議に感じられる。

「よかった。」彼は笑った。

「僕は彼の画が大好きなんです。

彼の画が観たくて、美術館で働いているくらい。」

その笑顔はまぶしい。

本当に画が好きなんだなと思う。

美術館では、ほとんど話をしなかった。

でも話をしなくても、伝わるものがある。

彼がその画を好きだということ。

そして、今楽しんでいるということ。

美紀も画を観ることが好き。

自分の好きな画をゆっくりと観ていたい。

美術館に行くのはひとりがいいと思っていたけど、

隣で楽しんでいることを感じられるのなら、

その思いを共有できるのなら、

もっともっと楽しめるのかもしれない。

〈iyokanからのお願い☆〉

読んでいただいて、ありがとうございます。

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