「もう疲れたな・・・。死んでしまおうか。」
千春はそんなことを考えるようになった。
子供が産めない女なんて、女としてできそこないだ。
生きる価値もない。
最後に心から笑ったのはいつだったか。
もう思い出せない。
誰にも会いたくない・・・。
何をやっても楽しくない。
そんな千春にも夫は優しかった。
でも子供ができない自分が申し訳ない。
私がいなくなれば夫は再婚して自分の子供がもてるとも考えた。
でも夫は千春を愛してくれている。
子供のことはきつい事実だが、
千春を支えようと一緒に努力してくれている。
もし千春が自ら死を選んだら、きっと彼は一生自分を責めるだろう。
そんなことはできない。
千春にとって毎日生きることは地獄となっていた。
「可能性がゼロでない限り不妊治療を続ける。」
そう決めていたものの、疲れ果てた千春は
「もうやめてしまおうか。楽になりたい・・・。」
とも思うようになっていた。
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