彼はなぜいなくなったのか・・・

ひとりごと

今日は彼の話をしたいと思います。

彼は新規採用で私の直属の後輩として配属された。新採だから当然仕事なんてできないし、仕事も忙しかったので即戦力にするべく、結構厳しく(?)鍛えていた。

彼はとてもやる気があって会社の役にたちたい!と残業もいとわず、よく働いた。残業時には一緒に食事にも行ったし、当時は何かとチームでの飲み会も多かった。だから個人的な話を聞くこともあったけどそれなりに気が合って、なついてくれていたように思う。

その何年か後、私は人事異動で本部の忙しい部署に行くことになった。毎日深夜までの部署だったけど、私は性格が適当なので、適当に帰って怒られていた・・・だって必要あるときしか残りたくないし、残業代稼ぐために残っているおじさん達と違って忙しいし(笑)

上司に提出している書類はすべて修正もなく止められていて、これを作るために残業していたけど1週間もそのまま止められるなら、残業する必要あった?むしろ時間内にやるべきでしょ・・・

仕事がある→残業ではなく、人目がある→残業、残業代が稼げる→残業という構図なので、残業しない人、というだけでかなり目立ってしまう・・・

「やる気あんのか?出世はあきらめたということでいいんだな?」とか言われて、今思えばその言葉の暴力はパワハラだよね・・・当時は、セクハラもパワハラも普通だったから、何の問題もなかったけど。

私が本部に来て何年か後に、彼も本部にある忙しい部署に配属された。私とは全く違う部署で私以上に忙しい部署だったので、会社ですれ違うこともほとんどなかった。

たまに見かける彼は、私と一緒に働いていたときのような無邪気な感じはなく、エネルギー不足でとても薄くなっているように見えた。

「希望して今の部署に来たんですけど、やることが多すぎて・・・弱音をはいちゃ、ダメですよね。大丈夫です。がんばります!」

いやいや、私にがんばる宣言しても仕方がないし、大丈夫だろうか???しかも希望してきたとなると、もともと超真面目な性格だし、上司の無茶ぶりにもかなり無理して答えているんだろうな~

と思いつつ、かくいう私も、適当な性格とは言え、上司との攻防にかなり消耗していたし、自分のことに手一杯で、彼にそれ以上関わることはなかった。

本部に来る人は優秀と言われている一方で、本部は忙しすぎて配属されたうちの1割くらいは1年以内に心の病になって、もとの部署に戻される。つまり、真面目であればあるほど、上司の要求に完ぺきに答えようとして潰れる・・・

メンタル強い人しか生き残れないし、メンタルが強くても「普通の女の子(サラリーマン)に戻りたい!」と戻る人も多い。戻してくれるかどうかは別として・・・

だから、気づくべきだったんだと思う。

その後、彼に連絡する用事があってメールをしても返事が来ない。必ずその日のうちに返信をくれていたのに、仕事が忙しすぎたのか、それとも・・・

何だか嫌な予感がした。昼休みに彼のいる部署に顔を出してみると・・・入院中だという。入院している病院に顔を出してみることにした。

病室を除くと・・・彼は生きていた。まだ20代なんだから当たり前だけど、当たり前だけど、ホッとした。一時期は毎日会っていた彼なのに今はすごく遠い。私は自分のことばっかりで、彼のこと、少しも気づけなかった。

「会社の名前や関連がある言葉をテレビで見かけると具合が悪くなるんです。朝起きたら、ニュースをやっていて、その中にそれがあって・・・朝普通に出勤できなくて、上司が様子を見に来てくれなかったら今ごろは・・・」

え?それって・・・

「ベランダから飛び降りていたかもしれません。自分の意思ではないのですが、おかしくなっていて・・・」

ごめんね・・・おかしいなと思っていたのに、全く連絡もしていなくて、何にもできなくて、自分のことしか考えていなかった。

彼は忙しいからどうせ時間がとれない、とか、彼は私が誘っても来ない、とか、彼に連絡しても忙しいから迷惑だ、とか、いろんな言い訳はできた。というか、言い訳をしてきた。

こんな話をしてくれるくらいに、本当は近い関係だったのにね。何となく視線を外した先には、ペットボトルに無造作にオレンジのガーベラが挿されていた。

「あ、それね。自分でペットボトルに入れたんですよ。砂糖水にしてあげると、花が長く持つんですって。意外と優しいところあるでしょ?」

そう笑った彼はもとのままの優しく穏やかな彼だった。

人は人生でたくさんの人に出会うけど、一瞬でも分かりあえる人は本当に一握りだと思う。放してしまった絆を取り戻すのはとても難しい。彼は無事だったけど、そうではないケースもきっとたくさんある。

すべてを自分のせいにすることはない。ないけど、もう少し他人のことを気にかける思いやりが私にあったら、いろんなことが変わっていたのではないか。

人との距離感はとても難しく、くっつけば追い払われ、離れれば心配になる。どこかで無事に元気に生きていてくれれば会えなくてもいいけど、助けが必要なときは、助けたい。でも一度離れてしまうと、その思いは届かない。本当に助けが必要なときに助けを求める術がない、もしくは相手を慮って助けを求めないことも多い。

これは両親や子供、家族全般にも言えることで、人の心は見えないから、突然子供がこの世を去ったり、突然両親が失踪したりすることもある。

そうならないように、しっかり見ておかないといけない。自分のこと、プラスアルファの余裕をもって、言い訳をせずに見守っていかなければならない。

やっぱり私はまだまだだな、と思う。

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