理不尽な転勤命令

その日の朝、課長に呼び出された早紀は少し緊張していた。

総合職試験を断ってからというもの、なんとなく課長の態度がおかしい。

「来月4月から、君は千葉工場に転勤が決まった。

一般職としてはめずらしいが、決まったことだ。

せめて君の実家の近くにという配慮があって、

千葉になった。

新しい職場でもがんばってくれ。」

そう早口に言うと課長は会議室を出て行った。


確かに千葉工場は早紀の実家から車で30~40分くらいだ。

でも大きなミスをしたわけでもないのに、

東京本社の一般職が工場に転勤になるなんてきいたことがない。

工場は工場採用の一般職がいるはずだ。

きっと会社は早紀が退職届を出すことを望んでいるのだろう。

給料が高くなった早紀を、リストラしたいだけだ。

その夜、早紀は帰って退職届を作った。そして、一晩中泣いた。

なぜ、会社にそんな仕打ちをされなければならなかったのか。

早紀には分からない。

一晩中泣いて、外が明るくなる頃、

ようやく早紀は前向きな気持ちを取り戻していた。

「会社が辞めさせたいのなら、絶対辞めてやらない。

工場でもなんでも行ってやる!」

そう決めた早紀は少しすっきりした気持ちで、カーテンを開けた。

サッと外から明るい光が入ってくる。

昨夜泣きながら書いた退職届を勢いよく、破り捨てる。

「今日は会社に行って、いつもと変わらずに仕事をしよう。

人にどんなうわさをされたって、堂々としていよう。」

鏡をみて、笑ってみる。

「私はわるくない。」

目ははれているけど、上手に笑えた。

早紀は心に誓う。

今は、会社にしがみつこう。

みっともなくても。人になんと言われても。

いつか私が会社を必要としなくなるまで。

胸をはって退職届を出せるまで。

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