妊娠検査薬は“陰性”を示していた。
しばらくすると生理が来る。
ずっと、そのくり返し。
「いつまで待てばいいの?」
千春は37歳。もう結婚して7年になる。
勤めていた保険会社の先輩だった夫も、今年で40歳。
仕事は辞めてしまったけど、夫との生活は穏やかで楽しい。
千春は「この人でよかった」と心から思う。
郊外にマイホームも手に入れた。
でも、子供が欲しい。
子供は二人。女の子と男の子一人ずつ。
幼いころからそう決めてた。
それなのに、7年たってもまだできない。
「子供はまだ?」とか「子供っていいわよ~」
とかさりげなくお節介をやく人もいなくなった。
30で結婚。
すぐに子供をつくれば、決して遅い方じゃない。
32で少し不安になる。
でも2年くらいできないのは普通というし、もう少しがんばろう。
本を読んだり、ネットで調べたりして、できることは全てやった。
基礎体温をつけ始めて、排卵日もなんとなく分かるようになった。
35歳のとき、不妊の可能性を調べに行った。
嫌な予感はみごと的中。
自分が“子供ができにくい体”なんて思いもしなかった。
いや、認めたくなかった・・・。
この5年間は何だったの?
あきらめきれず、不妊治療を始める。
甘い雰囲気なんてあったものじゃないけど、
ときどき喧嘩しながらも、夫は協力してくれる。
でも、もう37歳。
「いつまでまてばいいの?」
いつの間にか7年もたってた。
神様はいじわる。
こんなに子供を欲しがっている夫婦のところに、
子供を授けてくださらないなんて。
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