結婚は早すぎる?(1)

そろそろ結婚しないか。」

不意に彼は言った。

「ついにきた・・・」

それは由紀がおそれていた言葉だった。

由紀は35歳。出版社に勤めている。

がむしゃらに働いて13年。

自分の企画した雑誌が現実になろうとしていた。

こんなチャンス二度とない。

「誰にでもチャンスは人生に3度ある。

そのチャンスをつかめるかどうかは自分次第だ。」

ときいたことがある。

由紀は今がそのチャンスなんだと確信していた。

彼が最近結婚を意識していたことは感じていた。

でもまさかこのタイミングで。

「俺、やっぱり子供欲しい。」って。

彼のことは嫌いではない。

いずれは結婚とも漠然と考えてはいたが、

由紀が結婚したいのはではない。

結局彼には由紀の気持ちが理解できず、

平行線のまま二人は別れた。

そのあと彼はすぐに25のどこにでもいる女の子と

「できちゃった婚」をした。

由紀の企画した雑誌は大成功をおさめ、

40を過ぎた今も編集長として多忙な日々を送っている。

時々由紀は考える。

私はあのとき仕事を選んだ。

それは正しかったのか。

あのとき仕事をあきらめなかったことに後悔はない。

結婚と両立できたかどうかは分からないけど、

彼には伝わらなかった。

結局結婚をしたとしても上手くはいかなかっただろう。

今由紀にはつきあっている人がいる。

もうお互いに40過ぎだ。

結婚はまだあきらめてはいないが、急がない。

子供ができてしまったら、

それが2度目のチャンスだと思ってがんばろう。

彼には内緒だが由紀は心に決めていた。


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